不定期更新覗き魔ブログ、今月の記事です。
今回は『ダークソウル』と『ダークソウル3』から、「アルトリウスの大剣」と「狼騎士の大剣」が持つ特殊な効果について調べ、その結果からアルトリウスについての考察を進めていこう、という方針です。(2種類あるアルトリウスの大剣のうち、今回考えるのは神聖属性のものです。)
まずは武器のテキストを確認しましょう。
・アルトリウスの大剣『ダークソウル』
【アルトリウスの大剣】
「深淵歩き」の騎士アルトリウスの墓守
灰色の大狼のシフのソウルから生まれた大剣アルトリウスはダークレイスの狩人であり
その剣もまた闇の眷属に大きな威力を発揮する
・狼騎士の大剣『ダークソウル3』
【狼騎士の大剣】
ファランの狼血の主
深淵の闇に汚れた騎士の大剣狼の騎士は、最初の深淵の監視者であり
その剣もまた闇の眷属に大きな威力を発揮する
武器の画像を見てもらうと分かる通り、狼騎士の大剣は深淵の大剣と同じ外観をした武器であり、どちらもアルトリウスの武器を元に生成された武器であることがわかります(武器アイコンは何故か深淵の大剣ではなく普通のアルトリウスの大剣)。 テキスト中にあるように、これらの武器による攻撃では、闇の眷属に対してダメージが増加します。
では具体的に闇の眷属とは何を指すのでしょうか。
まずは『ダークソウル』アルトリウスの大剣の対象から。
『ダークソウル』 アルトリウスの大剣でのダメージ増加対象
・ダークレイス
・四人の公王
・カアス
・フラムト
ダークレイスとその親玉である四人の公王に対してダメージが増加することは、アルトリウスがダークレイスの狩人であることから自然に理解できます。カアスやフラムトに対してダメージが増加するのは一見疑問に思えますが、本来ダークレイスの生命喰いの力は世界蛇の業であるため、蛇たちも対象に入ると考えられます。
『ダークソウル』におけるアルトリウス大剣の対象となる闇の眷属とは、「世界蛇の業を持つ者、生命喰いの力を持つ者」と言えます。
続いて、『ダークソウル3』の狼騎士の大剣について。
『ダークソウル3』 狼騎士の大剣でのダメージ増加対象
・エルドリッチの腐肉
・神喰らいのエルドリッチ
・ダークレイス
・灰の審判者、グンダ
・覇王ウォルニール
・人の膿
・深みの呪者
・竜狩りの鎧
・ハーラルドの戦士
・闇喰らいのミディール・(巡礼の蝶)
攻略本などを参考にしたので過不足があるかもしれません。
『ダークソウル3』における闇の眷属と呼ばれる存在はかなり多いことがわかります。
『ダークソウル』のアルトリウスの大剣の対象であったダークレイスに加えて、闇を溜め込んだもの、闇に操られたもの、深淵に落ちたものなどなど多岐にわたります。
狼騎士の大剣では闇の眷属の範囲がアルトリウスの大剣より拡大していることがわかります。
実際、『ダークソウル』では深淵に飲まれた騎士アルトリウスやウーラシール市民、ウーラシールの深淵の根源である深淵の主マヌスに対してさえアルトリウスの大剣でのダメージ増加は有りません (人間性マラソンでお世話になる深淵湧きもダメージ増加はありません)。
なぜアルトリウスの大剣と狼騎士の大剣でダメージ増加範囲に違いが生まれるかを考えます。
ここで、ダメージ増加の仕組みを見直してみましょう。
【黒騎士の大斧】
世界をさまよう黒騎士たちの大斧
混沌のデーモンと対峙するための武器自らよりも大きな敵と戦い続けた故だろうか
独特の攻撃は、敵の強靭度を削る力が強い
【亡者狩りの大剣】
仮面の騎士が振るい続けたという大剣
亡者たちの脳裏に刻まれた恐怖の記憶亡者に対して特に効果が高い
かつてミラの正統な騎士に与えられたものであり
両手持ちで独特な剣技を見せるという
デーモンと対峙した黒騎士の得物はデーモン特攻を持ち、亡者を狩り続けた大剣は亡者特攻を持つように、本来の武器の持ち主が何をその武器で狩っていたかこそが重要であると考えられます。
アルトリウスはダークレイスの狩人に過ぎず、深淵に敗れた存在でした。それ故に、彼の大剣はマヌスなどの深淵の勢力に対して特別な力を持つことはありませんでした。
では何故、狼騎士の大剣はダークレイスに留まらず、多くの闇の眷属に力を持つのでしょうか。
ここで、アルトリウスと狼騎士は同一人物ではないという可能性を提示します。
つまり、狼騎士とはアルトリウスの遺志を継ぎ、深淵を討った不死の一人であると。
狼騎士の大剣が深淵を討った不死の得物であるならば、ウォルニールやハーラルド騎士などの深淵の存在に対して有効であっても不思議ではありません。
もちろん、狼騎士装備や狼騎士の大剣はアルトリウスの物と同一であり、別人のものであると考える方が無理があります。
狼騎士がアルトリウスではないと考える根拠を述べていきます。
根拠1.狼騎士装備のテキストにはアルトリウスの名が無い
【狼騎士の兜】
深淵の闇に汚れた騎士の兜
群青の房は決して乾かず、濡れそぼっているかつて騎士は終に倒れ、使命と狼血を残した
それはファランの不死隊のはじまりであり
監視者たちはその甲冑に、自らの最期を見る
比較として、竜狩り装備のテキストを示します。
【竜狩りの兜】
「竜狩り」オーンスタインの名で知られる
黄金獅子の兜。雷の力を帯びた神代の甲冑竜無き時代、廃聖堂を守ったという騎士は
だが無名の王を追い、その地を去ったという
竜狩りの装備は確かにオーンスタインの名で知られているのに対して、狼騎士の装備はアルトリウスの名前で伝わっていません。
根拠2.アルトリウスの名前は伝わっている
アルトリウスは『ダークソウル』の時代で既に命を落としており、そのため『ダークソウル3』の時代で名前が伝わっていないだけである、と考えることができますが、実は『ダークソウル3』の時代でもアルトリウスの名前は伝わっています。
【狼の指輪】
最古の王グゥインに仕えた四騎士のひとり
「深淵歩き」アルトリウスの名で伝わる指輪強靭度を高める
アルトリウスは、強靭な意志により決して怯まず
大剣を振るえば、まさに無双であったという
グウィンからアルトリウスに与えられたこの指輪は、狼騎士の物としてではなく、きちんとアルトリウスの名で伝わっています。
根拠3.不死隊の試練は『ダークソウル』の火継ぎの模倣
不死隊の試練とは、ファランの城塞内の火を消す、独特の入隊の試練のことです。
ファランの不死隊には、独特の入隊の試練があってな
城塞の内、3つの祭壇の火を消すことで、狼の血への扉が開く
呪われた不死人が、それでも特別であると信じたいのさ
(脱走者ホークウッド)
3つの祭壇の火を消すことで、大きな門の前の燭台に火が灯ることで門が開きます。
この祭壇にはレリーフが彫られており、上からそれぞれ「墓王ニト」「四人の公王」「イザリスの魔女と混沌の娘たち」がモチーフとなっています。
・墓王ニト
・四人の公王
・イザリスの魔女と混沌の娘たち
(中央に魔女、下部に7人の娘たちがいる。ゲーム中だと分かりにくいですが、デザインワークスだと7本の杖がよく見える。)
・消された火は門の前へ
『ダークソウル』の不死の英雄は、はじまりの火から王のソウルを見出した者たちを殺し、そのソウルを扉の前に捧げることで火継ぎへの道を開きました。
不死隊の試練は、ロードランの不死の英雄の試練を模していると考えることができます。
※白竜シースについて
当然、「なぜシースの祭壇は無いのだ」という話になりますが、正直わかりません。
ゲーム制作上の都合か、シースが倒されなかった世界なのか、シースが姿を変えて生きていることを表しているのか...
・デザインワークスにはシースを模したと思われる祭壇のデザインがある
・まとめ
以上をまとめると、
・狼騎士の大剣は深淵の勢力に特攻を持つ → 狼騎士は深淵の狩人
・狼騎士と騎士アルトリウスは同一であるとは言い切れない。
・不死隊の試練はロードランの不死の英雄の行動を模している。
これらのことから、狼騎士はウーラシールで深淵を討った不死の英雄であると考え出すことができます。
不死の英雄でありながら、深淵の監視者として生き、終に倒れた騎士こそが狼騎士であり、ファランに不死隊を生んだのです。
・おわりに
アルトリウスと不死の英雄の真実を知っている者は、鷹の目ゴーと王の刃キアラン、エリザベスくらいでしょうか。(ウーラシールの宵闇は気づいていない?)
ファランの城塞にエリザベスらしき遺体があることや、鷹の指輪を持つ巨人がウーラシールと繋がりを持っているなど、ウーラシールを知る者たちの影響は『ダークソウル3』の世界にまで伝わっていそうです。
火を継いだただ一人の不死ではなく、様々な不死の英雄の足跡が残っていると考えれば、オーンスタインが倒されていない世界であったり、大狼シフが死んでいない世界がロスリックに流れていると考えることができるかもしれません。
深淵の監視者の剣とスズメバチの指輪がある墓を守る白い犬くん好き