記事として残しておきたかったので、グルーに関する短めのもの。
1.デーモンは賢いぞ!
ダークソウルにおいて、デーモンは知性のある存在として登場しています。
我々が初めに出会うデーモンは、巡礼を阻む北の不死院の門番として。蝙蝠羽のデーモンはタクシー業者まで営んでいます。
ほとんどのデーモンは武器を扱い、デーモン遺跡では文明を築き、デーモンの助祭は衣服のようなものまで身に着けています。デーモンには「炎司祭」や「助祭」などがおり、彼らには宗教に似たものを持つこともわかります。ここから、デーモンたちは高度な知能を持っていることが分かります。決して獣に近い存在ではなく、人間にこそ近い存在だといえます。
デーモンたちはどのようにして文化を築き、魔女たちが失われた時代も生き抜いてきたのでしょうか。
ダークソウル無印に登場する指輪、『老魔女の指輪』にはこう書かれています。
【老魔女の指輪】
あるとき老いた魔女から送られた古い指輪
人には介せぬ文言がびっしりと刻まれているが
特に効果はないようだ
この指輪を付けることで、それまで会話ができなかった混沌の娘と会話をすることができます。少なくとも彼女らには、人間には理解できない"独自の言語"が存在するようです。※1
ここで「この言語はデーモンにも共通している」と仮説を立てます。
デーモンたちにコミュニケーションをするための言語があるのなら、人間と同様に文化、文明を作り上げることが可能でしょう。
こういった独自の言語によって、不死院のデーモンや蝙蝠羽のデーモンは使役されていたと考えることができます。
2.デーモンとグルー
【はぐれデーモンのソウル】
はぐれデーモンのソウル
力を帯びた、異形のソウルのひとつ使用することで莫大なソウルを得るほか
練成によりその力を取り出すこともできる炎の燻りすら失くした、はぐれデーモンは
かつてロスリックの門番であったという
ダークソウル3においても、門番としての使命をもったデーモンが存在します。
このデーモンはいったいどのようにして使役されたのでしょうか?
これを考えるために、一度ダークソウル3のデーモンについて考えましょう。
カーサスの地下墓のさらに底、燻りの湖にデーモンたちは遺跡を築いています。
昔懐かしい無印のデーモンたちの死体が溢れるこの遺跡には、デーモンとは少し異なる種族が居ます。
それがグルーです。
グルーとは、ファランの城塞と燻りの湖で登場する、複数の生き物の特徴を組み合わせたようなモンスターです。
グルーはデーモンのように異形の姿をしていますが、彼らはデーモンではありません。
というのも、黒騎士の武器に代表される「デーモン特攻」の効果がグルーには乗りません。しかしデーモンと似た特徴を持つのも事実です。
図に示すように、グルーにはデーモンの助祭(助祭はデーモン特攻あり)に似た角を生やしています。また、グルーの背中には羽根の名残のようなものがあり、それもまたデーモンらしさを感じてしまう要因です。
燻りの湖では、燻りグルーと黒騎士が戦闘をしていることから、少なくとも黒騎士側にはデーモン側の存在であると認識されているようです。
3.グルーについて
グルーは"デーモン側"であることから、前述の"独自の言語"を扱えると考えられます。しかしグルーはデーモンだけでなく、人間側とも交流していることがわかります。
【黒虫の丸薬】
昆虫の類をすり潰し丸めた飲み薬
黒いそれは、一時的に闇カット率を高める深淵の監視者たる不死隊の常備薬
侍祭の末裔たるグルーたちは
今もそれを作り続けているという
腐った森に住むグルーたちは、深淵の監視者の常備薬をつくるなど、友好な関係を築いています。グルーは深淵の存在であるダークレイスと戦闘を行うので、不死隊側の存在であるといえます。(黒騎士とダークレイスという、ほぼ対局にある2陣営のどちらにも斬られる存在ってなかなか稀では。がんばれグルー)
デーモンとの交流に加え、不死隊すなわち人間との交流を行うグルーにはデーモンたちの"独自の言語"と"人間の言語"どちらも扱うことができると考えられます。
その根拠の一つが、グルーによる「魔法」の使用です。
(youtubeのリンクです)
上の動画に示すように、グルーは独特なタリスマンを持ち、回復の奇跡を使います。ダークソウルにおいて、奇跡とは物語であり、聖書に記したり、口伝できるなど"言語"として形を持ったものです。
グルーが奇跡を使えるということは、人間の言語を理解し、信仰する心を持っているといえます。
奇跡に加えて、グルーは魔術とも繋がりがあります。
【ファランの矢雨】
「ファランの短矢」の上位魔術のひとつ
ソウルの短矢を連続で放つそれは結晶の古老が直々に鍛え
侍祭の長に託したものであるという
その娘、ヘイゼルの魔術として
黒虫の丸薬のテキストにあるように、グルーは侍祭※2の末裔であるため、侍祭の長およびその娘ヘイゼルもグルーに属するものであると推測できます。
ひとまず結論:グルーはデーモンの言語とヒトの言語を理解できる。
ロスリックのはぐれデーモンの話題に戻ります。
ファランのグルーに魔術を伝えたのは結晶の古老、ロスリックの大書庫の賢者でした。
つまりロスリックには不死隊およびグルーたちと交流があり、デーモンとコミュニケーションの取れる存在がいたことになります。
これではぐれデーモン使役問題はひとまず解決できたことになります。※3
それでは、最後にこの記事で一番言いたかったこと、「そもそもグルーとは何か?」
デーモンに近い存在でありながら人間とも交流する。侍祭の娘であるヘイゼルは人間らしい(?)ロザリアの生まれ変わりの常習犯。デーモンとヒトの両者の側面を持った不思議な生き物。
4.グルーとは何か
燻りの湖のデーモンの遺跡にはとある異形の遺体があります。
この遺体の周りには謎の球体が溢れています。
側の遺体から得られるアイテムが『クラーナの呪術書』であること、遺体が蜘蛛の形をしていることから、この遺体は混沌の娘であると推測できます。
とすると、この球体は彼女の「たまご」とみて間違いないでしょう。
【火防女の魂】
クラーグの住処の火防女、混沌の娘の魂
火防女の魂は人間性の憑代であり
それは彼女たちの体においても変わらない
あらゆる皮膚の下に無数の人間性が蠢き
その姿は、大抵おぞましいものとなる彼女においてそれは、無数のたまごとして現れた
あのたまごはすべて、人間性の揺り篭なのだ
混沌に飲まれ、下半身がデーモンと化した娘の「たまご」には、人間の性が捧げられていました。
そのたまごは一体どうなったのでしょうか。
おや...?たまごのようすが?
おめでとう!デーモンのたまごとヒトの精からナニモノかがうまれた!
・補足
※1:『老魔女の指輪』の指輪はダークソウル2の『ささやきの指輪』のように、「相手の心を読んでいるだけ」という可能性があるが、テキスト内の「人には介せぬ文言」という記述から、独自の言語が存在すると解釈した。
※2:「侍祭」とは、キリスト教カトリックにおける聖職者の品級と呼ばれるものの一つであるらしい。品級には他にも「司祭」や「助祭」も含まれる。
この品級の考え方をそのまま当てはめるならば、グルーが「侍祭」にあたり、デーモンの助祭は宗教的にはその上位の「助祭」であることになる。
無印のデーモンには「司祭」もおり、なかなかマッチしている。デーモンの信じる宗教ってどんなものだろう。
※3:ロスリックには蝙蝠羽のデーモンのタクシーシステムもあるので、ロスリックにはかつて神族に近しい存在がおり、それが門番のデーモンを使役していた、と考えることもできる。
・おまけ
今回の記事とあまり関係がないですが、デーモンの助祭と結晶の古老は似ているというお話。
デーモンの助祭と結晶の古老はどちらも、球体をその腕に抱えており、顔は嘴のような特徴的な形状をしています。
【降り注ぐ結晶】
結晶の古老として知られる双子の導師
その独特の魔術小さなソウルの結晶塊を空中から連続で放つ
結晶の塊は貫通する古老の片割れは不死隊の同盟者であり
ファランに魔術師を育てた
それは古い約束であったという
似ているのは単なる偶然かもしれませんが、侍祭の長との繋がりを考えると、古老はグルーやデーモンたちと古くから関わりがあったと考えても面白いかもしれません。