twitterで赤の不死斬りの箱に特徴的な紋章があるという指摘を目にしました。
この紋章を探してみると色々面白かったので、紋章と、そこから推測される葦名の過去について考えてみたいと思います。
【1.導入】
まず、本テーマのきっかけとなる赤の不死斬りの入った箱を見てみます。
これと同じ紋章が源の宮にもあります。
これは淤加美の女武者の所持品にも書かれています。
以上から、赤の不死斬りと宮の勢力、中でも淤加美の女武者たちに繋がりがあることが分かりました。
【2.淤加美と葦名】
『淤加美の古文書』
仙郷を目指した淤加美一族が残した古文書香気の石、葦名の底の村に祀られたり
身を投げねば、辿り着けようも無しこれで源の香気、揃うたり
仙郷へ、出立のときぞ
「源の香気を集め仙郷に行く」狼たちと同じ方法で淤加美たちは源の宮に至ったようです。
つまり、
『彼女たちも竜胤の御子の血を手に入れている』
⇒『かつて不死斬りを使用した』
ということが分かります。
(ちなみに、淤加美の女武者は竜胤の御子およびその従者の特徴である、部分的な白髪を帯びている。)
次に、淤加美と葦名の関わりについて
『錆び丸』
斑な緑青の刃をした、古い小太刀
忍義手に仕込めば、義手忍具となるいにしえの昔、葦名に攻め寄せた
人ならぬ一族に抗するため
葦名衆が鍛えたものあやかしを退けたは、
青錆びの毒の賜物とか
『古戦の掛け軸』
かつて葦名に、あやかしきたり
あやかしの雷は、源の神鳴り
神業無くば、弾き返せぬ即ち、地に足つけぬ、雷返しなり
いにしえの昔、淤加美の女武者達は宮から葦名に降り、そして退けられたそうです。
末裔である蛇の目の存在から、その後淤加美たちが葦名の地で生活を営んでいたことが考えられます。
時代は進み、淤加美の一族である巴と、その主であり竜胤の御子の丈が葦名に降り立ちます。巴たちも狼たちと同様に、不死断ちを目指して活動をしました。
しかし、巴たちは不死斬りを手に入れることができませんでした。
『巴の手記』
柔らかな字でしたためられた巴の手記丈様の咳は、ひどくなられるばかり
仙郷へ帰る道は、どうやら叶わぬ
せめて竜胤を断ち、人に返して差し上げたい人返りには、常桜の花と不死斬りが要る
なれど、花はあれども不死斬りはない
仙峯上人が、隠したのであろう
竜胤を断つなど、あの者は望まぬゆえに...
【3.以上を踏まえて】
赤の不死斬りの箱には宮の紋章があるため、少なくとも一度は宮に不死斬りはあったと考えられます。不死斬りは、淤加美が仙郷に至る際に宮に運ばれたと解釈しました。
ですが丈たちの時代、赤の不死斬りは仙峯寺にあります。
そのため、何者かによって赤の不死斬りは宮から葦名に持ち出されたのだと考えられます。(または"どんぶらこどんぶらこ"と落ちてきた)
宮の人たちは死なず、老いていくだけの存在です。
...源の宮の、痴れ者どもめ...
もうすぐ、我は鯉になろうぞ
老いぼれるだけのお前たちに...
及びもつかぬ永遠... (壺の貴人 春長)
老いを望まぬ者たちに残された道は、若さを取り戻すか、死を選ぶか 二通りの道があります。
老いてもまだ死ねぬ宮の貴族たちは、若さに飢えています。
お若いお人、お気をつけください
宮の貴族たちは、若い精気に渇いています
吸いたくて、吸いたくて、仕方がないのです
若さを求める者たちに対して、永遠を望まない者もいます。
我が父は、貴族になりましたが
そのとき、鯉に魅入られてしまいました
もうずっと、ずっと、ただ鯉に餌をやっています
お若いお人。どうか父を、鯉の呪縛から解き放ってください
あのような永遠は、父の望みではありませんでした
「若さを取り戻す」目的と、「永遠を断ち切る」目的、どちらも不死斬りの目的と一致します。(全盛を取り戻すための黒と、不死の淀みを断ち切るための赤)
いにしえの昔の淤加美たちも、(貴族の命か、本人たちの望みか、)不死斬りを求めて葦名に降り、そして目的は果たせず葦名に残ったのかもしれません。
【4.弦一郎について】
話は大きく変わるようですが葦名弦一郎について。
実は弦一郎、宮と深いつながりがあります。
墓前とは葦名本城の「名残り墓」のことでしょう。
名残り墓には巴と丈の墓があります。
つまり、弦一郎の叔父が丈ということになります。
「叔父」というのは「両親の弟」、言い換えれば「祖父母の息子」ということになります。
「戦いの残滓 葦名弦一郎」
心中に息づく、類稀な強者との戦いの記憶今はその残滓のみが残り、
記憶は確かに狼の糧になった葦名弦一郎は、市井の生まれである
母が死んだのち、葦名に引き取られた巴の雷と呼ぶ、異端の技の遣い手である
葦名存亡の鍔際。異端こそ、この国を護るのだ
丈が誰の弟なのかはテキストで明言はされていませんが、母の存在とその死後に葦名に引き取られた事実は確認できます。
仮に、弦一郎の母の弟が丈であった場合、弦一郎の母と宮の一族とのつながりを見ることができます。
さて、弦一郎の母が宮の一族、つまり淤加美や宮の貴族との血縁にあった場合、彼の出自についても色々と考えることができます。
もし弦一郎の母が、蛇の目のような淤加美たちの末裔であった場合、「かつて葦名を襲った者たちの生き残り」として迫害を受けている可能性があります。
事実、蛇の目が率いる落ち谷衆は、葦名と道の繋がっていない場所で生活を営んでいます。
弦一郎が一心の孫でありながら、市井の生まれである一つの理由と考えられます。
葦名存亡の鍔際。異端こそ、この国を護るのだ
隻狼本編の葦名、存亡の鍔際の葦名においては、落ち谷衆だけでなく、赤鬼や変若水の澱などまで使い葦名の護りを固めています。異端こそ、この国を護るのだ
【まとめ】
1.赤の不死斬りは「源の宮」経験者!
2.淤加美は昔から、葦名と色々あった。
3.淤加美たちは不死斬りを求めて葦名に降りてきた!?
4.弦一郎が市井の生まれなのは、淤加美の関係者であったから!?
【おわりに】
隻狼は様々な史実のモチーフから情報を引き出して考察することができますが、原点に立ち返って「隻狼」内の情報のみで頑張ってみました。
時系列を含めて赤の不死斬りの移り変わりを考えるのは不確定な要素が多く困難でした。ここに黒の不死斬りまで含めると、"正しく"情報を結びつけることは骨が折れそうです。
我、死なず。情報をただ願う
みな死なず、永く待とうぞ