今回は罪の火についてです。
といっても「よくわからなさの化身」である罪の火なので、『罪の火は◯◯だ!』と言い切るつもりもなく、一つの解釈として聞いていただけると嬉しいです。
罪の火の厄介さといえば、不思議なものであるにも関わらず、言及されているテキストがとても多いため、仮説を立てると何かしら反例が生まれてしまう、そんな困った罪の火についてのお話。
1罪の火の情報整理
1-1 罪の火のプロパティ
罪の火は多くのテキストで言及されているため、いくつかの性質を読み取ることができます。
・燃え尽きない
【火刑の芒】
イルシールの冷たい死霊
魔女たちが掲げ持つ罪の火それは武器であるとともに共に魔女の杖であり
常に火を纏い、決して燃え尽きない
罪の火は燃え尽きることがないそうです。
・惹かれる
【火の魔女の兜】
イルシールの冷たい死霊
罪の火を掲げ持つ魔女たちの兜法王の騎士を率いた魔女たちは
元は聖騎士に叙されたものだが
すぐに罪の火に心奪われたという
罪の火には心奪うほどの何かがあるようです。
・抑える手段があるかもしれない
【王の薪】
巨人ヨームが残した王の薪
王が玉座に戻らぬならば
その薪を戻せばよい孤独な巨人は、罪の火を鎮めるため薪の王となった
彼を王と呼ぶその声に、心がないと知っていても
少なくとも、罪の火を鎮めようとする人たちがおり、彼らの思いを受けヨームは薪の王となったそうです。
・女性がキッカケとなった
【エレオノーラ】
異形と化した罪の都の住人
その中にあった異様な武器彼女たちはある神官の家族であり
その呪いが、罪の火の切欠になったという
だが当人たちは、のうのうと生き続けていた
罪の都で蠢く罪の異形たちは、女性であり、彼女らが罪の火のキッカケであったことが明言されています。(「切欠」は英訳版の"triggered"から「きっかけ」の誤用であると判断)
・人のみを焼く
【罪の炎】
罪の炎に由来する呪術
離れた敵を炎で包み、焼き払う
巨人ヨームが薪の王となった後
罪の都は炎により滅びた
それは空より生じ、人々だけを焼いたという
罪の都の上空に生じた罪の炎は、かつて人々だけを焼いたそうです。
・暗い火。
鍛冶屋アンドレイに【罪の種火】を渡した際のセリフ。
...あんた、この種火は...
暗すぎる。むしろ深淵に近いものだぜ...
赤く炎属性のある罪の火ですが、アンドレイ曰く深淵に近い暗さがあるそうです。
1-2 これって罪の火?
罪の都にある大きな器と、そこで燃えている炎。
これ。
前提として、私はこれを罪の火の一つと考えています。
この火の性質を調べることで、罪の火についての掘り下げができるのではないか。
それが今回の方針です。
2罪の火の性質
罪の都のこの火には、以下の性質があります。
・人を追いかける
・器の中身は空っぽ
これについて整理していきます。
2-1 人を追う火
この罪の都の罪の炎には、プレイヤーを追いかけるという性質があります。
この性質は罪の火に由来する呪術【罪の炎】にも見ることができます。
【罪の炎】
罪の炎に由来する魔術
離れた敵を炎で包み、焼き払う
巨人ヨームが薪の王となった後
罪の都は炎により滅びた
それは空より生じ、人々だけを焼いたという
ダークソウルにおいて生命を追いかける性質には、根本に「意思」、「命」そして「闇」が潜んでいます。
【追う者たち】
禁忌とされる闇の魔術
人間性の闇に仮そめの意思を与え放つものその意思は人への羨望、あるいは愛であり
人々は目標を執拗に追い続ける
その最期が小さな悲劇でしかありえないとしても
【追尾するソウルの塊】
古く竜の学院が失った大魔術師
「ビッグハット」ローガンの独自魔術のひとつ追尾性の高いソウルの塊を浮かべ、放つ
探求者たるローガンの一端が見える魔術だが
生命に惹かれるその性質について
後の研究では、むしろ闇に近いとされている
罪の火が「闇」の性質を持つ可能性については、「暗すぎる」というアンドレイのセリフとマッチします。
また、この火の器の周りには白ヴェールの獄吏が4体立っています。
実は、器の火の発生にはこの獄吏たちが不可欠です。遠くから獄吏たちを大弓でダウンさせてしまえば器の火は発生しません。
詳しくは以下の動画で。(Twitterに飛びます)
https://twitter.com/esxovusl/status/1175830548649889792?s=21
動画の要点をまとめると、
・獄吏が居なければ火は発生しない
・獄吏は見えない体が有効だが、火には意味がない
・火には誘い頭蓋が有効だが、獄吏には意味がない
以上の結果を解釈すると、「獄吏は火の攻撃を促しているだけであり、火自身に独立した意思がある」と考えられます。
誘い頭蓋が有効な「火」は、実はもう一つ存在します。
それは「吹き溜まり」のボス、デーモンの王子の使う「浮かぶ混沌」です。
プレイヤーやデーモンの助祭の用いる浮かぶ混沌には有効ではありませんが、罪の火との貴重な共通点といえます。
【浮かぶ混沌】
死斑の呪術師、ダネルを魅了した儀式呪術
燻りの湖の助祭たちが用いるもの飛沫を放つ、混沌の火球を浮かべる
束の間に燃え尽きるその混沌は
だが苗床に生じた原初の生命であるという
それはイザリスの罪の、憐れな証であろう
混沌は原初の生命であり、それがソウルに惹かれるならば、この罪の火にも「意思」や「生命」に近いものが表れているように思えます。
2-2 器の中身は空っぽ
この器の中には何もなく、ただ火があるのみです。
ダークソウルにおいて、火には「薪」などの火の燃料になるものが必要です。
そしてだからこそ、燃料が途絶えれば火は衰えていく。「はじまりの火の薪を巡った物語こそダークソウルの本筋」といえるほど、燃料は火にとって重要です。
「罪の火には燃料がない」と素直に受けとめるなら、
燃料を必要としない⇒火は燃え尽きない
と罪の火の不思議性質の一つとも噛み合います。
3火の燃料について
「罪の火には燃料が見つからない」という話をしたばかりですが、ここで燃料について少し確認をします。
火の燃料は何か。
結論から言えば、火は闇によってその勢いを増します。
より正しくいえば、闇によって火の力が増す現象がいくつかあります。
身近な例は「篝火の火」です。ダークソウル無印において、人間性(闇のソウルの欠片)を捧げることで、篝火の火を大きくし、エスト瓶の使用回数を増やすことができました。
また、上でも挙げた「混沌の火」はどうでしょうか。
【混沌の炎の種火】
武器を進化させるために必要な種火
混沌の炎の種火は廃都イザリスの業であり
古い作法を知る鍛冶屋だけが扱える+5の炎の武器を、混沌の武器に進化させる
(混沌の武器は+5まで強化できる)混沌の武器は炎攻撃力を持ち
人間性によって強化されるデーモンの武器である
ダークソウル無印において、混沌の武器には人間性の数が多いほど、威力にボーナスが付いていました。(混沌の呪術にもボーナスが付いていたが、アップデートで撤廃)
混沌の炎が闇そのものを燃やしているかは分かりませんが、少なくとも人間性で力を増す性質があることがわかりました。
4絵画を燃やす火
話は少し変わり、「絵画を燃やす火」について。
ダークソウル3のDLC1における、アリアンデル絵画世界を燃やす火のことをここでは「絵画を燃やす火」と呼ぶことにします。
この火は、画家が新しい世界を描くために必要なものであり、ゲールに頼まれたDLC1の目的の一つです。
絵画世界存続のため、フリーデと教父アリアンデルによって隠され、抑えられているものです。
実はこの火も、闇を燃料として燃えています。絵画とは、人の暗い血で描かれたものであり、そこには暗い魂、闇のソウルが宿っています。
【アリアンデルの薔薇】
絵画世界の鞠のような教父が
その血で火を鎮めるために用いたバラ鞭絵画の修復者たるアリアンデルは
それが血で描かれることを知っており
それを守るためにまた血を用いた
【暗い魂の血】
奴隷騎士ゲールの、虚ろに生じた暗い魂の血
アリアンデルの「お嬢様」が
絵画世界を描くための顔料となるゲールが小人の王たちに見えたとき
彼らの血は、とうの昔に枯れ果てていた
そして彼は、暗い魂を喰らった
5罪の火の一つの解釈
「絵画を燃やす火」のアイデアを踏まえて、私が考えた罪の火の一つの解釈がこちらです。
「罪の火は、絵画の火に近い存在である」
言い換えると、
「罪の火は、世界そのものを燃料としている」
この解釈を導入することで、いくつかの問題点が解決できます。
・決して燃え尽きない問題
絵画世界の住人からみて「絵画を燃やす火」はいつ消えるのか。
世界を焼き尽くすまでこの火が続くのであれば、住人は火が燃え尽きることを観測することはできません。
罪の火も同様に、世界を燃料とするのであれば、その火が燃え尽きることを知る者はいません。
・燃料が見当たらない問題
絵画世界で燃えている火を見ると、何もない床が燃えていたり、特に燃料らしきものは見当たりません。
それもそのはず、絵画世界そのものが燃料となり燃えているためです。
罪の火が世界を燃やしているのであれば、そこに燃料としての物体が無いことも不思議ではありません。
・人を追いかける問題
罪の火が人を追いかける性質の根本には、「意思」や「生命」の存在があることを、初めに述べました。
実は絵画世界にも、人を追いかける特殊な火が存在します。
この白木女が出す灯火は、ゆっくりながら、プレイヤーを追尾する性質があります。
木とは大地から様々なものを吸って成長するもの。闇で描かれた世界に生えた樹木は、闇の影響を受け、その火は生命に惹かれる性質を持ちました。
・キッカケが神官の家族の女性
罪の火は、エレオノーラのテキストに書いてある通り、神官の家族である罪の異形がキッカケです。
絵画の火はフリーデの死がきっかけで教父アリアンデルによって引き起こされます。
フリーデは教父アリアンデルの家族と言えるかはわかりませんが、神官に近い存在の女性です。 特殊な火の攻撃をしてくる白木女も、女性の姿をとっています。
・何が罪なのか
【浮かぶ混沌】(再掲)
死斑の呪術師、ダネルを魅了した儀式呪術
燻りの湖の助祭たちが用いるもの飛沫を放つ、混沌の火球を浮かべる
束の間に燃え尽きるその混沌は
だが苗床に生じた原初の生命であるという
それはイザリスの罪の、憐れな証であろう
これは自分の考えに過ぎませんが、「火に命を与えること」こそが罪なのではないかと感じました。
命を持った混沌がダネルを魅了したように、命を持った罪の火が、火の魔女の心を奪ったのかもしれません。
一つ注意しなければならないことは、「罪の火」の英訳は"profaned flame"であり、イザリスの罪の訳"Izalith's sin"とは訳が異なるため、同じ「罪」という単語にも別の意味を含めている可能性があります。
6まとめ
罪の火が世界を燃やす火であると解釈すると、いくつかの問題が解決できることがわかりました。
しかし、これまで言及していませんでしたが、罪の火が世界を燃やしているならば、
「世界は闇で作られているのか?」
これに関してはまた別の問題になりますが、「絵画世界ループ説」など、世界が闇で作られていることを提唱する説もあるため、まあオッケーかなと(適当)
世界が消えない限り火が消えない、だからこの火は燃え尽きない!
と屁理屈結論にしてしまいましたが、まあきっと罪の火の説は多い方が面白いでしょう。