考察覗き魔

考察覗き魔

ダークソウルシリーズに関する考察

【ダークソウル】ウーラシールの魔術と古い約束

  ファランの城塞で登場する黄色指のヘイゼル。彼女は黄衣の探求者と呼ばれる、黄金の魔術を探すものたちの一人です。

【黄衣の外套】

黄色い衣の外套
その下には、真鍮のメダルが連なっている

黄衣は、失われた魔術の探求者の装束であり
メダルの数はその成果の証である
それは彼らの誇りだ、誰に理解されなくとも

黄金の魔術とは、亡国ウーラシールに伝わる光を操る魔術であり、『照らす光』や『擬態』などがその一例です。

【照らす光】

古い黄金の魔術の国
ウーラシールの失われた魔術
光を生み、周囲を照らす

光を生み出す、単純な魔術であるが
それこそ黄金の魔術の精粋であり
竜の学院は、ついにそれを実現できなかった

 この黄金の魔術の国ウーラシールにはキノコ人と呼ばれる生物がおり、神聖な生き物とされていましたす。このキノコ人、無印ダークソウルでは黒い森の庭と大樹のうつろにて、敵対モブとして登場しますが、森の庭の個体のみ「黄金松脂」をドロップします。

【黄金松脂】(DARK SOULS 3)

黄金の光を放つとても珍しい松脂
中でも塊であるものは希少である

一時的に、右手の武器を強化する

いまやその製法を知るものはおらず
ある種のキノコの樹脂であるともいう

 なぜ森のキノコ人だけが黄金松脂をドロップするのでしょうか。
キノコは「木の子」と呼ばれているように、木に生えて育つのが一般的なキノコでしょう。森のキノコ人が黄金の力を手にしたのは、森の木に秘密があるのではないでしょうか。

実際、ウーラシールの森の木には特殊な力があるようです。

【白木の弓】

白皮の木で作られた短弓
光を操る魔術を帯びている

それは、深淵歩きの英雄譚でも知られる
深淵に飲まれた古い魔術の国の足跡である

戦技は「見えない矢」
大きく引き絞り放たれた矢は
黄金の魔力を纏い、ほぼ透明となる

 ウーラシールの木には黄金の魔力が宿っており、この木に根を張ったキノコが黄金の力を持つことは不思議ではありません。

ではそもそも何故、森の木に黄金の力が宿ったのでしょうか。
「そういう種類の木なんだよ」と言われてしまえばそれまででしょうが、それでは少しつまらない。

キノコが木から力を貰うように、木は地面に根を張って生きています。
それでは根を張った土に黄金の光の力があるでしょうか?

私の考えでは実は逆で、土に闇が多く染みこんだ場所、具体的に言えば人が多く眠る場所こそ、光の力を持つ木が育つのではないかと想定しています。

というのも、エリザベスがいるウーラシールの霊廟(=お墓)には白皮の木がたくさん生えており、エリザベスもその木の一つから生えています。

f:id:yasaiprpr:20210207173122j:plain

ウーラシールの霊廟と白皮の木

f:id:yasaiprpr:20210207163236j:plain

白皮の木に自生する神聖なキノコさん

また、光の魔術を帯びたウーラシールの木には「白皮の木」という特徴があります。
白皮の木といえば、ダークソウル3で登場するアイテム「幼い白枝」はウーラシールおよびウーラシールの宵闇に関連するアイテムですが、これはダークソウル3のいくつかのポイントで拾得することができます。
「不死街」、「深みの聖堂」、「ファランの城塞」そして「輪の都」です。

f:id:yasaiprpr:20210207211413j:plain

ロスリックでスクスク育つ白皮の木

白い木の生えている根本で「幼い白枝」を拾うことができます。不死街の巨人とのイベントを進めていれば大弓で助けてくれるあの場所です。

不死街と深みの聖堂は、お墓も多く、死体が地面から現れるほどの土地です。ファランの城塞は戦士が多く眠る場所であり、長老グルーがひとたび地面をつつけばそこには怨念がおんねん。輪の都では白皮の木は深淵の沼に生えています。闇吸い放題です。

どの場所も人が沢山眠り、闇が染み込んでいる土地です。黄金の魔術の謎は「土」にあったのだ!

黄金の魔術を求める黄衣の探索者ヘイゼルはそのことに気が付いていたのか、それとも偶然か、彼女の得物「ヘイゼルのつるはし」は土を掘り返すための道具「つるはし」でした。

【ヘイゼルのつるはし

ロザリアの指にして黄衣の探求者
黄色指のヘイゼルの得物

それは武器であると共に魔術の杖であり
こびり付いた金粉は失われた魔術の残滓である

 【つるはし】

鉱夫が土を掘り返す道具
本来は戦いに用いられるものではない

だが大岩を砕く渾身の振り下ろしは
半端な鎧などやすやすと貫くだろう

 光の魔術を操るウーラシールの魔術師たちは、やがて生まれた深淵に飲まれ、恐ろしい闇の魔術を生み出します。

【闇の霧】

ウーラシールの魔術師が狂気の内に見出した
深淵の魔術。闇の霧を発生させる

人間性に近しいはずの闇の霧は
だが、人にとっては恐ろしい毒となる
多くの人が、よく人を蝕むがごとく

 光と闇は表裏一体なのか、優しい魔術と称された光の魔術は、人を蝕む恐ろしい闇の魔術に変わってしまいました。

【歪曲した防壁】

周囲の大気に歪みを与える闇術
ほんの一瞬、スペルを弾く

闇術師ギリアには、ただひとりとして弟子はおらず、
その業が伝えられた経緯も謎に包まれている
あるいは闇の術とは、どこか別のところから
生まれたものなのかもしれない

 【歪んだ光壁】

古い黄金の魔術の国
ウーラシールの失われた魔術
光を歪ませ、魔法を弾く

光を扱う魔術の中でも、秘術にあたるひとつ
基本法則が一瞬に捻じ曲がるとき
すべての幻はその行き場を失うのだという

光の魔術と闇の魔術には大きな違いは無いのかもしれません。

ところで、イルシールの地下牢では、闇属性への派生が行える罪の種火や、闇術を扱う魔女カルラが牢に入れられていますが、黄衣の探求者の遺灰と宵闇の頭冠も牢の中にあり、少し異質に感じられます。しかし光の魔術と闇の魔術に大きな違いが無いと気付かれ、危険視されていたとすると、納得がいきます。

話は少し変わりますが、この光の魔術は竜の学院ではついに実現できなかったようです。ウーラシールの宵闇曰く、

ウーラシールの魔術は、なんというか、寛容で、クスッ
少しいい加減なところがあるのですが

貴方の時代の魔術は
もっと真摯で、自己以外を拒絶するように見えるのです

 無印本編の時代の魔術(おそらく竜の学院の魔術に代表されるもの)はいい加減なウーラシールの魔術と異なり、真摯で自己以外を拒絶するものだそうです。
他者を拒絶しない寛容な魔術は、やがて行き過ぎた感情となり他者への羨望に変わってしまったのでしょうか。

【追う者たち】(DARK SOULS 3)

禁忌とされる闇の魔術
人間性の闇に仮そめの意志を与え放つもの

その意志は人への羨望、あるいは愛であり
人々は目標を執拗に追い続ける
その最期が小さな悲劇でしかありえないとしても

 他者への感情が魔術の性質を大きく変えるのでしょう。
生命を追いかける魔術「追うものたち」に似た魔術があります。

【追尾するソウルの塊】

古く竜の学院が失った大魔術師
ビッグハット」ローガンの独自魔術のひとつ

追尾性の高いソウルの塊を浮かべ、放つ

探求者たるローガンの一端が見える魔術だが
生命に惹かれるその性質について
後の研究では、むしろ闇に近いとされている 

 ローガンによって作られたこの魔術ですが、どうやら闇に近い性質であると書かれています。

探求者たるローガンによる魔術が闇の性質を持つ。「探求心」というものが闇の性質に近いことはほのめかされています。

【結晶古老の刺剣】

結晶の古老が護身に用いた刺剣
刀身に細かな結晶が散っている

結晶の魔力により魔力攻撃力を持ち
また、装備者のアイテム発見力を高める
それは古老が、生涯探求者だった証であろう 

アイテム発見力というのは、運のレベルを上げることなどで上昇するステータスですが、運というのは人間らしさの力、無印ダークソウルでは人間性の量によって変わるものでした。

 つまり伝えたいことは、他者への「羨望」で作り出され魔術が闇の力をもったことと同様に、「探求心」で作り出されたソウルの魔術にも闇の性質が宿る。闇と探求心は同一のものだと言えます。

闇と結晶(ソウル)の類似点は触媒からも見て取れます。

【マヌスの大杖】

深淵の主マヌスのソウルから生まれた魔術触媒
節くれだった古木の杖
その大きさから、打撃武器としても使用できる

性質は結晶の錫杖に近く、魔術の威力を高めるが
今人の身で用いれば、使用回数が減ってしまう

 【結晶の錫杖】

シースの妄執に飲まれたローガンの錫杖
凄まじい結晶の魔力を帯びた触媒

すべての魔術に絶大な威力をもたらすが
使用者は極めて高い理力を要求され
また魔術使用回数が半分になってしまう

 古木でできた”マヌスの大杖”は、ローガンの用いる”結晶の錫杖”とスペル使用回数半減という点で似た性質を持っていることが分かります。マヌスの杖の古木も岩の大樹の名残でしょうから、結晶と近い灰の時代の遺物なのかもしれません。
似た性質を、ダークソウル3の”古老の結晶杖”も持っています。「結晶球は使用者の意志を喰らう」といわれ、使用する魔法の消費FPが増加します。
他者への意志(ソウル)を触媒が喰らい魔術に結びつける、そういった仕組みで魔術が強化されているのかもしれません。

さて、結晶の魔術を生み出したローガンの力を受け継いだ双子の導師「結晶の古老」の片割れは、ファランの不死隊の同盟者となっています。

【降り注ぐ結晶】

結晶の古老として知られる双子の導師
その独特の魔術

小さなソウルの結晶塊を空中から連続で放つ
結晶の塊は貫通する

古老の片割れは不死隊の同盟者であり
ファランに魔術師を育てた
それは古い約束であったという

 古い約束、といったものがどういうものなのか不明ですが、結晶の古老は確かに不死隊たちへ魔術を伝えています。
不死隊に魔術を伝えると同時に、侍祭の娘ヘイゼルの魔術として「ファランの矢雨」や「強いファランの短矢」などを託しています。

ファランの矢雨】

ファランの短矢」の上位魔法のひとつ
ソウルの短矢を連続で放つ

それは結晶の古老が直々に鍛え
侍祭の長に託したものであるという
その娘、ヘイゼルの魔術として

 結晶の魔術を受け継ぐ人物が、黄衣の探求者となり光の魔術を求めるヘイゼルに魔術を伝えているのは興味深いものが在ります。

さて最後に、この記事を書くきっかけになった古老とマヌスの魔術を紹介します。(twitterのリンクで失礼)

ファランの矢雨とマヌスの闇の飛沫、降り注ぐ結晶とマヌスの降り注ぐ闇の攻撃。
似ているかどうかは個人の感覚ですが、古老とマヌスに繋がりがあったならとても面白いです。
森のファランの不死隊と古老の繋げる「古い約束」へのヒントになるかもしれません。

 

おまけの妄想 

ダークソウル無印では、DLCエリアのウーラシールに行くためには、クリスタルゴーレムに囚われたウーラシールの宵闇を救い、また公爵の書庫にいるクリスタルゴーレムから割れたペンダントを手に入れる必要があります。
マヌスを呼び起こす二つのトリガーは、どちらもクリスタルゴーレムに封じ込められています。
シースがどのような目的でウーラシールに手を伸ばし、マヌスを遠ざけていたのかは分かりませんが、上で述べたように結晶の古老とマヌスに繋がりがあったならば、
遡ってシースとマヌスに繋がりがあったとも言えるかもしれません。

ダークソウル2にて、シースもとい”這う蟲”という存在が明かされ、姿を変えて様々なものに取り憑いているようです。
この便利機能を好意的に解釈すれば、書庫の知識を通じてローガン、ジェルドラ公や公のフレイディア、そして呪われた大書庫を通して双子の導師にかつての古い約束が継がれていったのかもしれません。(まあ無理がある)

シースと古いヒトとの繋がりで一つ気になるのは、輪の都のシラの存在です。
彼女は小人の王から現れた狂王をつなぎ止め、部屋に閉じこもっています。
彼女は公爵の娘と名乗り、身にはバイバルの真珠を付けるなど、シースとの繋がりを匂わせます。
しかし神の誇り、火の矜持、闇への恐れを語る彼女からは、裏切り者の狂った白竜は想像できません。

案外、狂う前のシースは神の一員として、闇に対して思うところがあったのかも。そんな解釈が一つあってもいいのかもしれません。(個人的には、一貫して狂った裏切り者であってほしい)

 

おしまい