テーマは「幻肢の指輪のテキストから考えるロザリアの掘り下げ」です。
「幻肢の指輪」
舌を捧げる侵入者たち
ロザリアの指に与えられる指輪
遠い距離で、装備者の姿を隠す
生まれ変わりの母、ロザリアは
最初の子に舌を奪われたという
以来彼女は、それらを待っているのだと
誓約『ロザリアの指』で手に入る指輪のテキストを上に示しました。
今回注目するのは後半の3行です。
生まれ変わりの母ロザリアには子が(おそらく複数)おり、最初の子に舌を奪われたことがわかります。 ロザリアの子と明言されているキャラクターはいないので、テキストからわかる情報はここまでです。
周辺の情報からロザリアの子について考えていきます。
ダークソウル3には何人か声を失っている人物がいます。
「生まれ変わりの母」ロザリア、「天使の娘」ゲルトルード、そして兄王子ローリアンです。(ホレイスは"アンリ曰く"無口なだけなので保留)
ゲルトルードが声を失った原因は明確ではありませんが(おそらく彼女の見えた天使が原因?)、ローリアンについては明記されています。
「ローリアンの手甲」
王子ロスリックの兄、ローリアンの甲冑
王家に伝わる真鍮の手甲は、黒く染まっている
騎士として育てられたローリアンは
弟の呪いにより声と歩みを失ったという
そしてそれは、彼の望みであったとも
ローリアンが声を失った原因は、弟である王子ロスリックによるものでした。
声を奪うようなキャラクターは彼以外いないため、ロザリアの「最初の子」も王子ロスリックであればしっくりきます。
しかしそれには問題があります。王子ロスリックは兄王子ローリアンの弟であるため、ロザリアの「最初の子」であるという記述に矛盾が生まれます。
ここで一つの打開策があります。それは、ローリアンとロスリックが双子であるということです。
日本語では「双王子」と表記され、
・二人の王子
・双子の王子
どちらの意味でも取ることが出来ます。
しかし英語版では「双王子」を"the twin princes" 『双子の王子』と訳しています。
このゲームの英訳の妥当性について考慮すると長くなりますが、私は少なくともダークソウル3においては正しいものと考えています。
なぜ双子であればこの問題が解決するかを説明します。
時代や地域によっても異なりますが、双子の兄弟の決定の仕方に、「先に生まれた方を弟とする」というものがあります。(明治以前の日本でもそういう決め方をしていたそうです)
ロスリック王家がこの決定方法を用いていたならば、王子ロスリックがロザリアの「最初の子」であることに矛盾が生じません。
結論:ロザリアの最初の子が王子ロスリックでもよい
⇒ロザリア=ロスリック王妃説の補強になる
※おまけ 英訳の妥当性について
ダークソウルのテキストが、直訳ではなく意味、内容もきちんと訳せているのかという問題に対して、ダークソウル3のアイテム「ダークリング」と「暗い穴」のお話をしたいと思います。
「暗い穴」
不死人の証にも似た暗い穴
ぽっかりと体に開いている
その暗い穴に底は無く
人間性の闇が徐々に漏れ出し
引き換えに呪いが溜まっていく
それは決して消えぬ呪いの印であるが
かつて一人の、深淵から戻った火防女だけが
その呪いを癒したという
「ダークリング」
呪われた不死人の証
最後に休息した篝火か、祭祀場の篝火に戻るが
ソウルを全て失ってしまう
このリングが現れた者は
死んでも蘇り、いつか意志なき亡者となる
故に彼らは故郷を追われるのだ
ロンドールのヨエルによって開けられる暗い穴は、不死人の証であるダークリングに似ていると明記されています。
英語版では「暗い穴」のことを"Dark Sigil"と訳されています。
"Sigil"は印、印鑑などの意味があり"Sign"[サイン]、"Seal"[シール、紋章、封印]などの仲間です。
困ったことに「穴」という意味がありません。
これにはしっかりと理由があります。
「ダークリング」は"Dark Sign"[ダークサイン]と英訳されています。
「暗い穴」が"Dark Sigil"となっているのは、『ダークリングと暗い穴が似ている』という意味も含めて訳されているのだと私は解釈しました。